窮地に立たされた酒蔵を再生、そして新たな挑戦へー栃木県大田原市・菊の里酒造

酒蔵紹介

栃木県大田原市は松尾芭蕉の「奥の細道」と縁の深い地として知られており、市の中央を流れる那珂川や八溝山系の里山など自然豊かな地域になります。
大田原市は「大俵」から由来し、その名の通り昔から米を始めとする農業が盛んな地域です。

大田原市の水は那須連山の自然濾過装置により磨かれた、旨みたっぷりの水となっています。
また大田原市で栽培されている山田錦はコンテストで首位を取るほどの一級品です。
大田原市はまさにお酒造りに適している土地になるのです。

このように自然資源が豊かな大田原市で国内だけではなく世界へとお酒を醸しているのが菊の里酒造

現在は主銘柄である「大那」、初めての方にもおすすめの「菊の里」、そして特別な日のお酒としてお楽しみ頂きたい「新たな」などを造っています。

国内外でも人気のあるお酒を醸している菊の里酒造の8代目 蔵元 阿久津 信さんに菊の里酒造の歴史から現在の挑戦についてお話を伺いました。

菊の里酒造の歴史

初代の蔵元は1866年に良質な水を探し、現在の土地で酒造りを始めました。
創業後は「一流」「君の友」というブランド名のお酒を造っていましたが、第二次世界大戦の起業整備で一時製造を休止。

戦後は共同経営という形で、那須野に群生する菊の可憐なイメージから「菊の里」という銘柄を造るようになりました。
酒造りを再開してからは製造量を順調に伸ばし、2000石を製造。
この頃、製造されたお酒のほとんどは秋田県の大きな酒蔵に納めていました。

しかし、大手蔵との契約が切れた後は製造量が大幅に減少しました。
減少後は、地元の旅館や式場などに少量のお酒を造る酒蔵になってしまいました。

窮地にあった酒蔵を立て直した「大那」

元々家族も継がせたいという思いもなく、阿久津さん本人も次男ということもあり、酒蔵を継ぐという認識はなかったそうです。
そのため大学卒業後は会社員として食品会社に就職。しかし、1年目のある日に蔵元のお祖父様が他界されました。
その時に色々考え、本格的に蔵を継ぐ決意をしたとのことです。

今振り返ると、その時は若く、世間のことを知らなかったので踏み切れたとおっしゃっておりました。

当時はお酒の知識もなかったので、酒販店さんや他の酒蔵さんに色々教えて頂いたそうです。
色々な人から学ばせて頂き立ち上げたブランドが「大那」になります。


ここからは「大那」を酒蔵を立て直すための商品として広める活動に移ります。

最初は栃木県の酒販店と取引しておりましたが、東京にも営業に行き、取り扱ってくださる酒販店の拡大に努めました。
その時の特約店の一つであった酒販店の推薦もあり、有名な食にまつわる情報誌「dancyu」に掲載されたのです。
これにより「大那」の知名度は一気に上がりました。

しかし、知名度は上がったもののまだまだ少量しか造れない設備でしたので、その後も設備投資をし続けて現在では約800石を造れるようになったとのことです。
また設備投資により、酒質も上がり手に取ってもらう事が増えたとおっしゃっていました。

設備投資された設備には効率的なものが取り入れられておりました。


こちらは麹の温度を一定に保てるようにファンがついています。
日本酒造りでは温度管理が大事になるので、日夜問わず温度を人の手と目で確認している蔵もあります。
しかし、このファンがある事で温度の調節を機械がしてくれるので人がいなくても温度管理ができるようになるのです。

効率化、合理化する事は日本酒造りをする働き手のことも考えて行なっているとのことです。

菊の里酒造が目指すお酒造り

ーー阿久津さんはどのようなお酒造りを目指されているのでしょうか。

一番はお客様を裏切らないお酒造りをしたいです。
香りの華やかさなども大事だと思いますが、飲んだ後に美味しいと言われる味わいのお酒を造りたい続けたいです。
華やかな香りでも飲んだ後に美味しいと思われなかったら、2回目、3回目と飲まれることはないと思っています。
だからこそ美味しい味わいのお酒を造りたいです。

私自身、一杯だけ飲むお酒よりも、ずっと飲み続けられるお酒の方が好きなのです。
日本酒を飲む時は食事と一緒に飲まれる事が多いと思っておりまして、そうなると料理の邪魔をしないような味わいや料理を引き立たせる味わいが大切だと感じています。

お客様が料理を食べる時に最初から最後まで飲みたいと思っていただける、そんなお酒を造り続けたいです。

菊の里酒造の“新たな”挑戦

菊の里酒造では阿久津さんが蔵に戻り、20年目の節目ということもあり「新たな」という日本酒を造られました。

こちらは菊の里酒造として、阿久津さんにとっても“新たな”挑戦という意味もあります。
また贈答品としても大切な人の“新たな”旅立ちの際などに門出を祝うお酒としてお客様に手に取っていただければとのことです。

新たな ARATANA

  • 原料米:栃木県大田原産山田錦 100%
  • 精米歩合:17%
  • アルコール分:15.3%
  • 日本酒度:-4
  • 酵母:明利小川酵母(めいりおがわこうぼ)
  • アミノ酸度:0.7
  • 火入れ:1回
  • 内容量:720ml
  • 購入サイトhttps://aratana-sake.com/jp/

那須連山で磨かれた雪解けの伏流水
17%まで磨いた栃木県大田原市の最高峰の山田錦
150年以上の伝統的なお酒造りの技術
により醸された最高級の日本酒になります。

「新たな」はロサンゼルスやニューヨークの展示会でも好評を博し、国内だけではなく海外へも同時に展開しております。
皆様もぜひ特別な日のお供に最高級の日本酒いかがですか?


窮地に立たされた酒蔵に戻り、現在の姿まで菊の里酒造を成長させて阿久津さん。
「ここまで成長されたのは何が要因ですか?」と伺うと、「私の努力や才能ではなく、沢山の人に協力して頂いたおかげでここまでこれたのです。」と答えられました。

お酒は機械的なものではなく、造り手の人柄や思いが味わいに反映され、それは飲み手に伝わるのではないかと感じました。
菊の里酒造は今後も色々な挑戦を考えているとのことですので、引き続き追っていきたいと思います。

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