「SDGs(Sustainable Development Goals)」とは、国連が定めた17の持続可能な開発目標のこと。経済合理性や環境負荷への対策など、より良い世界を目指すために必要な普遍的なテーマで、日本でもさまざまな企業や団体でサステナブルな取り組みが積極的に推進されています。
海外の方がサステナブルな取り組みに対して非常に注目されているため、製品やサービスの背景も大変注目されている。
日本酒業界は何百年もの歴史を持つ蔵が多く、サスティナブルな事業として続けられた産業の一つになります。そして数年前から新たな取り組みを始める蔵が少しずつ増えてきたのです。
それが、日本酒蔵のジン製造です。
どうやってジンって作られるの?
日本酒からジンって作れるの?そもそもジンってどうやって作られるの?
わかりやすいように簡単に説明させて頂きます。
高アルコール度数のベースアルコール(ウォッカや中性スピリッツ)にジンの主原料のジュニパーベリー(香りのあるスパイス)や他のハーブやスパイス、柑橘類などを漬けます。
その後に蒸留やアルコール度数の調整、濾過などを行って完成という形になります。
日本酒の酒蔵がどうやってジンって作っているの?
ではどうやって日本酒を造っている酒蔵がジンを造っているのか?
それは日本酒製造の際に必ず出る酒粕から造っているんです。
日本酒は米と米麹と水から造られるのですが、日本酒に米が物体として入っていないですよね?
それは米や米麹が入っている液体を絞ったり濾したりして、日本酒ができるからなんです。
その際に出るのがアルコールが含まれている酒粕なのです。
酒粕は甘酒や粕汁、粕取り焼酎、畜産の試料などに使用されるのですが、全てが全て再利用されるわけではないのです。日本酒製造で出る酒粕の多くは廃棄されることが多いのです。
この余ってしまう酒粕にはアルコールが含まれているので、この酒粕を蒸留し、高アルコール度数のベースアルコールを生成して造っているのです。
ジンは基本的に精製の過程で原料本来の風味が失われているニュートラル・スピリッツをベースとしますが、酒粕から造られるジンは酒粕そのものの香りがついているのです。
香りがあるからこその難しさもありますが、そこが酒粕から造るジンの面白いところなのです。
SDGsだけではないジン製造
廃棄される酒粕を使ったジンの製造はSDGsの観点からだけではないのです。
2010年時点でのイギリスでのウイスキー市場が約25億ドル(約2600億円)だったのに対し、ジン市場が約6億ドル(約700億円)と約4分の1の市場規模でした。
しかし、2019年の統計ではウイスキーの市場規模が約28億ドル(約2900億円)に対し、ジンの市場規模が約36億ドル(3800億円)と追い越しているんです。
世界的にもこの動きがあるため、ジンの製造自体も理にかなっているんです。
企業としての経済活動で環境やSDGsの取り組みを行うことは素晴らしいと感じます。
日本の各地の酒蔵でジンの製造を行うところが増えている理由がわかりましたでしょうか。
日本酒はもちろんのこと、日本酒は苦手だがジンなら飲める方もいるかと思います。そういう方々には是非一度酒粕から造られたジンを手に取ってほしいと思います。